石井裕也監督による新作
映画「愛にイナズマ」について、松岡茉優と窪田正孝が主演することが24日に発表された。監督は石井裕也監督で、コロナ禍以降の社会を描いたオリジナル脚本の新作だ。現代社会において、人々はマスクを着用し、本音を隠し、空気を読むことが必要となっている。本作はそのような鬱屈とした社会の中、大切なものを守るために精いっぱい生きる人々を描いた作品である。
松岡茉優の役柄と出演意欲
松岡茉優は、夢の映画監督デビューを目前にプロデューサーにだまされ、ギャラから企画まで全てを失うも諦めず、反撃を始める折村花子を演じる。初タッグを組む石井監督の脚本を初めて読んだ際は「面白いし、ぜひやりたいんですけれど、やり切れる自信がなかった。自分のスキルと覚悟ではできないんじゃないかと思ったから一瞬、置きかけました」と、1度は出演をちゅうちょしたと明かした。しかし、「できないと思っているってことは、自分の奥の琴線に触れてるってことだから、チャレンジしないといけないんじゃないか」と思い直し、覚悟して出演を決めた。松岡は、役柄について「家族の物語、諦められないものを持っている人の物語、世の中の普通や常識に対して『それ、なんだよ?』っていう怒りを持った女の子の物語」と作品を評し、花子と同じくみんなにめちゃめちゃ愛される作品にしたかったと強調した。
窪田正孝の役柄と作品への思い
窪田正孝は、花子と運命的に出会い、ともに闘う覚悟をした舘正夫を演じる。窪田は、「コロナが来て世の中が一変して、今、2年くらいたちましたが『あれ、なんだったんだろう?』って、みんなが思ってるけれど、どこか口にしちゃいけないことが、いい意味で愛を込めて、皮肉めいて、メッセージがちりばめられていた」と作品を評した。また、「全部、世の中が悪い。仕方がない。人も自分も、ウソと言い訳でごまかして都合の悪いことも全部なかったことにする。そんな理不尽にあらがう、とある家族の物語。人は愚かで醜いけど、命は尊く等しく重い。監督の愛と敬意と皮肉が詰まった作品になっていると思います」と語り、今の環境下で、ふさぎ込んだ心を解き放つ何かがこの作品に詰まっていると考えている。
大きな愛を描いた作品
本作は、花子が頼った父の治を佐藤浩市兄の誠一と雄二を、池松壮亮と若葉竜也が、それぞれ演じる作品である。10年以上音信不通だった、どうしようもない家族も巻き込み思いもよらない反撃を始める花子と正夫を待ち受ける、予想を超えた大きな愛こそ、作品の最大の見どころだ。窪田は、作品について「家族の物語でもあるし、愛も詰まっているし、そういう人間の本質を突いた、見た方は体にイナズマが走るような作品」と力を込めて訴えた。
映画「愛にイナズマ」は、コロナ禍において人々が抱える悩みや不安を描いた作品である。松岡茉優と窪田正孝が初共演し、石井裕也監督がオリジナル脚本を手がけた。本作は、家族の物語や社会に対する怒り、諦めずに闘うことの大切さを描いた作品である。花子と正夫が巻き起こす予想を超えた大きな愛が最大の見どころとなっている。今後の公開が楽しみである。
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